浦和レッズ杉本健勇選手の月額3000円の会員制ファンクラブ発足について考える

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スポーツビジネス

浦和レッズ所属の杉本健勇選手が月額3000円の会員制ファンクラブを発足しました。

あなたはどう思いましたか?

今回ファンクラブ発足に際し、些かネガティブな意見や反応が多かったと思います。
当該ツイートのメンションやツイート検索を見れば一目瞭然かと思います。
具体的には、
「点を取れ」「まずは結果を出せ」「サッカーだけしてろ」などなど。

さて、今回の話は悪いことなのでしょうか?
選手やサッカー界にとってマイナスなことでしょうか?

私はJリーグクラブの広報担当でした。
ほぼ毎日練習場に行き、サポーターの方々とお話をしていました。
選手への思いやチームへの思いをたくさん聞きました。
サポーターと選手の関わり方も色々と見てきました。

自分の経験も含めて、今回の事例を考えてみます。

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杉本健勇選手ファンクラブの件で私が導き出した結論

私が出した結論は「職業プロサッカー選手 杉本健勇が自分の顧客を持つこと」と考えました。
クラブの顧客じゃなくて、自分の顧客ですよということです。

そしてサポーターは選手本人にお金を払って受けられるサービスです。

早速の結論となりましたが、結論に至るまでの要素を書き出していきます。

杉本健勇 有料会員制ファンクラブの概要

まずはサービスの概要を見ていきましょう。

サービス名:vibes
月額料金:2980円(税込)
サービス内容:グループチャットでアスリートと会話、LIVE配信や日々の投稿を閲覧、オフラインミーティングに参加(不定期・別料金)、アスリートと1対1のビデオ通話(不定期・別料金)

サービスの料金や内容については、一旦理解しておく程度にとどめてください。

クラブは選手の価値を最大化してくれない

まず選手をクラブがどのように扱っているのかを考えてみましょう。

なおかつ、クラブは選手を雇っている立場ですので、なるべく給料を抑えようとします。
仮にクラブが選手の価値最大化を行い収入が増えても、選手の収入は最大化しません。

なおかつ、クラブは選手の価値を最大化してくれません。

選手の価値最大化とクラブの価値最大化はイコールではないからです。
かつ、現状のクラブ目線ではクラブを軸に商売をした方が、安定的にお金を稼ぎやすいです。
また選手の価値最大化を目指す中で、選手を軸にコンテンツ展開を行うことは必須ですが不確定要素が多く扱うリスクが高いです。
加えて、特定の選手個人のみをプロデュースし収入を増加させることは、チームマネジメントを考えると難しいでしょう。
必ず、クラブからプロデュースされない選手から不満がでます。

もちろん、選手の価値最大化を「やる」「やらない」という二元論では「やる」方がいいです。
ただ、現状のJクラブの少ないリソースの中で流動性が高いうえ、ピッチ上での成功が保証されていない選手のコンテンツ化は難しいものと言えるでしょう。

職業プロサッカー選手とプロサッカー選手と業務委託契約

この項でお伝えしたいことは、選手がサッカー以外のビジネス行うことは特に問題ないということです。

選手は大前提として”職業プロサッカー選手”です。
”職業プロサッカー選手”が”株式会社”と業務委託契約を結び、選手として活動しています。

業務委託契約を簡単に表現すると、契約を結んだ企業の一員として働く場合のみ名刺を持って活動します。

今回の例では、浦和レッズの活動をする場合のみ、浦和レッズのエンブレムを背負います。
逆に、浦和レッズでの以外での活動の際は浦和レッズという権利や商標を活用することができません。

2社の名刺を持って営業することは利益相反にあたります。
浦和レッズという肩書を使ったり、レッズ所属だから得られた仕事は、必ずレッズという組織を通すべきです。
逆に浦和レッズが杉本健勇が居るから得られた仕事は、杉本健勇を通して仕事受ける必要があります。

今回のサービスでは、浦和レッズというコンテンツを使用しないことが前提です。
使用する場合は何らかの権利活用料金の支払うことが求められるでしょう。

もちろん両者の合意があれば特に問題ありません。

選手個人のサポーターという存在

サポーターの中には選手の個人のサポーターが存在します。

まずこの事実を頭に置いてください。

クラブではなく選手個人のサポーターです。
選手個人を応援するために、飛行機や新幹線を使い、試合会場や練習場に応援に駆け付けるファンは意外にも多いです。
さらに選手が移籍する度に移籍先のユニフォームやグッズを購入しています。
実際にこのようなサポーターが実在します。

前項の話と照らし合わせてみましょう。

・選手個人の価値を最大化することはクラブはできない=特定選手のコンテンツ制作は不可=選手個人サポーターは満足できない。
・選手個人がクラブを通さずにビジネスを行うことは問題ない。

有料会員制ファンクラブのメリット

次に有料会員制ファンクラブのメリットを考えてみましょう。
メリットは多きく分けて3つ考えました。

メリット

①質の高い双方向のコミュニケーション
②スクリーニングによる炎上リスク低下と両質な環境
③ファンは選手を直接サポートできる

①質の高い双方向のコミュニケーションについて
まずは独自のコンテンツを使用することによる効果を上げてみましょう。
選手は自分の発信したいコンテンツに併せて機能をカスタマイズできます。
Twitterのような文字数制限や自動表示広告といったものもありません。

コミュニケーション面では選手とファンがコミュニケーションを密に取ることができます。
不特定多数が見ている従来のSNSでは特定のファンと交流することは難しいです。

かつ現状のJリーグで選手と双方向のコミュニケーションを取る方法は現地に足を運ぶ以外には実質無いに等しいです。
オンライン上で選手とコミュニケーションを取れることは大きなメリットでしょう。

今回の杉本選手のサービスでは、基本プランとして、グループチャットで選手と直接やり取ができるそうです。
他の業種のファンクラブ等と価格が比較されていましたが、杉本選手のサービスはコンテンツの質としては充実していると思います。
なにより、選手本人と直接やりとりできる価値は高いです。

②スクリーニングによる炎上リスク低下
今回のサービスは月額3000円とサブスクリプションサービスの中では強気の価格設定となりました。
DAZNやアマゾンプライムと比較すると高いですね。

月額3,000円/年額36,000円という設定は選手に強い愛着のある人が出す金額でしょう。
逆に考えると選手に興味がない人が支払う金額ではありません。
これがスクリーニングです。

昨今、ある程度お金を支払い、質の高いサービスと環境を求める人は多いです。
グリーン車やファーストクラスに乗る人と同様です。
心地良い環境を買うのです。

選手を大切に扱う人々が集まるコミュニティは恐らく素晴らしいものになると思います。
なにより選手・ファン共に、なにかと炎上させたがる自身のファンやサポーターでもない人に気を遣わずにコミュニティ運営できることはとても大きいです。

実際、本件も全く興味がない他クラブのサポーターが不必要に叩いていました。

もちろんこのような環境では、一般的に炎上されやすいとされるチーム状況が悪い時期にも頻繁にメッセージを発信することができます。
選手のツイートや投稿を待ちわびているサポーターにとっては素晴らしいサービスです。

③ファンは選手本人を直接サポートできる
ファンはこのサービスを通して、選手本人に金銭的サポートを行うことができます。
現状の選手とファンの関係はクラブを媒介することがほとんどです。
選手本人のファンなのに、クラブにお金を落とし続け、選手本人には十分にお金が届いていない状況です。

加えて、選手をサポートする物品や金銭の提供はクラブによって管理されます。
このサービスプロサッカー選手個人としての仕事です。
月額3000円の多くが選手の手元に入るでしょう。
これが仮にクラブを媒介すると選手本人には入るか分からないお金になります。

これは少し派生した話です。
サッカークラブのルールというのは様々状況やファンを想定して、包括的で厳しいルールになりやすいです。
一方、このようなこのようなサービスはクラブに管理されないため、より多様なサポート方法が今後生まれる可能性があります。

この価格設定が高いか低いか。

なお本件に関して、特にデメリットはないと考えています。
強いて言えば、十分に会員を確保できず、選手が損失を被る可能性があることでしょうか。

今後の展開とまとめ

今回の取り組みはとてもいいチャレンジだと思っています。
サッカー業界全体としてみればパイが広がったり、収益拡大が図れるます。

選手個人としてはプレーに左右されない収益源ができることは大きいでしょう。
もちろんこのようなサービスには中間業者が入っているので、プレーに影響が及ばないように負担は極力少なくなっていると思います。

選手本人のファンにとっても嬉しいサービスでしょう。
特定の選手に特化したコンテンツを選手の言葉のまま楽しめるのは間違いなくいいことです。

選手とファンにとっても素晴らしいサービスです。

さてクラブにとってはどうでしょうか。
恐らく、このようなサービスが運営されていくうえで、チームでの活動内容が発信されたり、クラブの肩書を使うわれることがあると思います。
本来入ってくるお金が入ってこないこともあるでしょう。

実際にヨーロッパでは規制がうまくできず、選手の肖像権をクラブが買い取るといった動きもでてきています。

いずれにせよ、日本サッカーが少し動きそうなこのサービスの今後が楽しみです。

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