Jリーグクラブの決算情報から見る地域経済との相関関係について

スポーツビジネス

Jリーグから2018年度の各クラブの決算情報が公開されました。
全てのJリーグクラブは法人化しており、株式会社として会社経営をしております。

今回の記事では、決算情報からクラブと地域経済との相関性について検証していきます。
まず前提としてサッカー界では概ね「営業収入=チームの強さ」です。
上位カテゴリで戦うチームやタイトル争いをするチームは営業収入が多いのです。これは既にデータでも実証されており、海外リーグでも同様の傾向となっております。
世界屈指、日本でもお馴染みのバルセロナの2018年営業収入は1200億円です。
当たり前ですが、収入が多いのでチームを勝利に導く優秀な人材(選手や監督等)を多く獲得できるからです。

上記を簡潔に表現すると「お金持ち=強い」ということになります。

Jリーグクラブの営業収入って?

そもそも営業収入とは・・・

企業のおもな営業活動から生じる収益。通常は純売上高がこれにあたる。製造業では生産および販売活動の結果もたらされる収益であり,建設業では完成工事高,商品販売業では取扱高が営業収益の源泉となる。

ブリタニカ国際大百科事典

とのことです。
なおJリーグクラブの営業収入は以下6項目を合算した金額とされています。
 ①広告料収入
 ②入場料収入
 ③Jリーグ配分金
 ④アカデミー関連収入
 ⑤物販収入
 ⑥その他収入
各収入を大まかに解説します。

1.広告料収入とは
クラブが他企業からお金を頂き、企業の宣伝を行います。
具体例として、ユニフォームの胸部に掲出されているスポンサーロゴやスタジアムでの看板掲出が挙げられます。
その他にも印刷物や公式サイトへの企業ロゴ掲出など様々な広告メニューをクラブは販売しています。
あらゆるスポーツで格となる収入源です。

3.Jリーグ配分金
Jリーグ本体(Jリーグホールディングズ)が稼いだ権利収入、広告収入を各クラブへ分配しています。

販売具体例として、放送する権利(放映権)をDAZN(パフォーム・グループ)、リーグタイトルを明治安田生命(保険相互会社)が挙げられます。

ちなみに分配する比率はJ1>J2>J3となります。J1クラブの方が広告価値として高く、販売に貢献しているからと推測できます。
分配金はJ3クラブでも毎年最低3000万は貰えるので、経営にもたらす効果は大きいですね。

4.アカデミー関連収入
アカデミーとは高校生以下のチームになります。
Jリーグクラブはアカデミーも事業の一環として取り組んでいます。
主な収入源は小学生年代のスクールの会費です。

5.物販収入
ほぼほぼグッズ収入です。
グッズ収入の内訳として、毎年高単価で販売されるユニフォームが占める割合が高いです。

6.その他収入
選手が移籍する際に発生する移籍金収入や寄付・募金などです。

2018年度各Jクラブ営業収入

単位:百万

J1平均営業収入:47億5500万
J2平均営業収入:15億4100万
J1昇格ライン:最低20億

営業収入と地域経済の相関性についての検証

現状各クラブはホームタウン・都道府県下の企業や住民を相手に商売を行っています。
試合観戦者やスポンサーは大方がホームタウン・都道府県下の企業や住民です。
よって、クラブの営業収入は、ホームタウンや都道府県の経済状況に比例すると考えられます。

そして「地域経済状況」=「営業収入」=「チームの強さ」と仮説を建てることができます。
「チームの強さ」の定義ですが、J1所属クラブ全て「強い」に含まれます。
さて、タイトルの件「営業収入」と「地域経済」の相関性について検証していきます。

今回はJ1とJ2を対象に、以下の6つの項目を使用して検証を行います。

①親会社の有無
親会社はクラブへほぼ無条件に多額の出資を行う。
金額も高額なので営業収入における影響が高い。よって比較項目に選出。

②政令指定都市
ホームタウンの規模を図る指標として比較項目に選出。
政令指定都市は予算が潤沢かつ、行政が独自に行政サービスを実施できる。
そのためスポーツへ投資する財源も十分に確保できる。

③県内総生産全国平均以上であるか
県内総生産とは県内で算出されたサービスの総額(出荷額、売上高など)から原材料費・光熱費を差し引いた金額。県内で算出された付加価値の総額。
県内にどれくらいのお金があるのかの指標になるため選出。
お金を持っていない地域を対象に営業を行っても営業収入は増えません。
スポンサー収入への影響が大きいと推察。

④県民所得が全国平均以上であるか
所得が多いとサポーターがクラブに使える金額が増えるため。
またホームタウン、県民が可処分所得として娯楽に使用できる金額も多いため。
チケット収入やグッズ収入に直結。

⑤県民人口が全国平均以上であるか
ロイヤルティのピラミッドの「絶対的支持層、積極的支持層、習慣的支持層、消極的支持層、無関心層」の母数が多いため。要するにサッカーにお金を使う人が多くなりやすいため。

⑥関東or関西への在籍有無
東京・大阪二大都市のベッドタウン、大学等の教育機関が多いことにより、県民の流動性が激しく新規顧客獲得を毎年狙えるため。
東京・大阪を中心とした交通網の発達、税予算が多いなど、その他地方と比較し大きく優位性があるため。

②から⑤の項目は内閣府のデータを使用

内閣府

今回は上記の各項目を満たしている場合は〇印を打っていきます。
〇印が多いチームほど地域経済状況からみて経営に有利と考えます。
下記がまとめた表です。

※営業収入が多いクラブから順に記載
※営業収入が多いクラブから順に記載
改めて、今回の仮説です。
「地域経済状況(〇印の数)」=「営業収入」=「チームの強さ」

検証結果
J1とJ2の〇印の平均数比較
J1平均:4.2個
J2平均:1.9個

約3、数値として差が出ました。

やはりJ2と比較してJ1チームの方が地域経済的に恵まれていることが分かりました。
J1の多くは、都会または地方都市と呼ばれる地域が多いです。
実際に数字を使用し検証すると、J1クラブの所在地は大きな企業が多い、人口が多い、所得が多い傾向です。
仮説は傾向として正しいと言えるでしょう。

検証結果あれこれ

・営業収入トップ10(J1、J2)
〇印平均数:4.9個
営業収入トップ10は10位のサガン鳥栖以外、〇印が5個以上になりました。
なお、サガン鳥栖はJ1で唯一〇印が0個のクラブでした。
しかし2018年までは親会社に近い位置でサイゲームズがスポンサーとして支えていました。
サイゲームズは残念ながら2019年から撤退しました。
データの傾向通りに進むと2019シーズンは厳しいシーズンになりそうです。

・営業収入ワースト10(J1、J2)
〇印平均数:1.1
厳しい数字になりました。県内にお金がない、県内に人が少ないので当然といえば当然です。

・タイトル獲得経験
平均〇印の数:4.6個
J1リーグ戦、Jリーグカップ戦、天皇杯のいずれかを優勝した経験のあるクラブに〇印を打っています。
〇印0個で優勝経験のあるクラブは大分のみ、その他の全クラブは〇印が4つ以上でした。
ただし大分はチームに無理な投資を行い累積赤字で経営破綻しました。ドーピングのようなものです。特例と言えるでしょう。

・J1未経験クラブ
平均〇印の数:0.7個
J1未経験クラブは平均で〇印の数が1個未満でした。
厳しい環境なので、経営と強化ともに現状とは違う施策を行わないと厳しいでしょう。

・親会社の有無
親会社あり:J1⇒11/18
J2⇒4/22

J1はほとんどのクラブに親会社が付いていました。
△印を打った広島・仙台は旧親会社が主要スポンサーとしてチームを支えているので、△としました。
J1所属チームの地域は経済的に発達しているからこそ、親会社はチームにお金を使えるのかもしれません。
2019シーズンから湘南はライザップの傘下に入りました。

・政令指定都市
J1:11/18
J2:9/22

補足:東京都は全域を対象に活動しているFC東京、東京Vは政令指定都市に含む。町田市のみで活動している町田ゼルビアは政令指定都市に含まない。大宮区を中心に活動する大宮アルディージャは政令指定都市に含まない。
J1は大半のクラブが政令指定都市下のチームとなりました。
ただし、政令指定都市下ではない柏・鹿島・磐田・長崎は親会社が付いています。
親会社もなく、政令指定都市下でもクラブは鳥栖・湘南のみです。
政令指定都市でもなく、親会社のないクラブがJ1に昇格しても一過性になる可能性が高いです。

・J2で〇印の多いクラブ
大宮・千葉・東京V・福岡・町田・水戸が〇印4つ以上です。
この6クラブ全てに当てはまる条件としてそこそこ都会という点です。
そして同県内にライバルチームが存在します。
福岡にサッカーチームはありませんが、野球のソフトバンクホークス、サッカーでは鳥栖がライバルになります。
よって、J1クラブよりも営業収入が低くなります。
さらに2つに分けて分析します
①大宮・千葉・東京V・福岡
J2では収入が多いグループです。多くのチームは直近のシーズンで昇格プレーオフ出場経験があります。J1と比較し営業収入は低いですが、J2を狙える収入です。
②町田・水戸
J2でも収入が低いグループです。
後発クラブで基盤が弱いうえにライバルが強すぎます。

まとめ

・Jリーグにおいて都会は有利。田舎は不利。
・経済的に恵まれない地域でJ1定着・タイトルを目指すには超大口スポンサーが必須。

今回このような検証結果がでました。
地方クラブの現実は厳しいものです。
サッカー界の発展のためにもこの現状は変えていかなければなりません。
「今後Jリーグクラブはどうしていくべきなのか」を考えてまとめてみます、
次回の更新をおまちください!

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 この作品の筆者は過去、数々の有力スポーツチームのコンサルタントを務めた米スポーツビジネス界の伝説のマーケター。
さまざまな成功のエピソードがあるなかで、最も有名なのは3年間社長を務めたNBAニュージャージー・ネッツの例であろう。彼は、NBA(全米バスケットボール協会)で観客動員数最下位だったネッツを、売上高500%増、27球団中チケット収入伸び率1位にまで導いた。
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